15冊目

2011年9月11日 100冊の遺書
「現実から逃げます。追ってこないでください」

誰も追ってこないようにと祈りをこめて、私は死んだ

逃げたかったのは楽しかった過去
追ってきたのは何もない現在
現実だったのは行く先の無い未来

14冊目

2011年4月23日 100冊の遺書
『嘘を、吐きすぎた』

最後の言葉が嘘か真か判らぬまま、私は死んだ。

小さい頃から嘘が嫌いだった
小さい頃から嘘を吐いていた

嘘を吐くなと言う言葉が
嘘だとわかるのが一番悔しかった


『これ以上自分でいることに耐えられない』

意識と行動の差が埋められず、私は死んだ。

どんな自分だったら耐えられたのか。
どんな自分でも耐えられなかったのか。

12冊目

2010年11月17日 100冊の遺書
『こんな世界もういらない』

途方もない我儘を言い残して、私は死んだ。

いつか世界が私をいらないというのではとずっと怯えてた。
いらないと言われるくらいならこっちから言ってやろうと思った。
世界にはほしいものがまだまだたくさんあったのに。

11冊目

2010年10月27日 100冊の遺書
『明日が来るのが怖かった。』

正直な想いを1つだけ書いて、私は死んだ。

くだらない事だとは分かっていた。
そのくだらない事に押しつぶされている自分はもっとくだらないものに思えた。
明日が来る恐怖がいつかなくなっても、
明日が来る恐怖に怯えていた過去はなくならない。

10冊目

2010年10月13日 100冊の遺書
『いつ死んでもいいように遺書を書いておきます。
あなたがこれを読んでいるという事は私は突発的に自殺したということなのでしょう。
それ以外の事はわかりません。』

保険として残しておいたものが、そのまま遺されて、私は死んだ。

生きている理由が希薄だった。
だから死ぬ理由も希薄だった。
ただ、なんとなく、死にたいと思ってしまった。
ただ、なんとなく、もう無理だと思ってしまった。
ただ、なんとなく、生きなくてもいいかと思ってしまった。

ただ、なんとなく、生きていてもよかっただろうに。

9冊目

2010年10月6日 100冊の遺書
『誰も気づかなかったってことは、取るに足らない下らないことなんでしょう?』

子供の我儘のような文句を残して、私は死んだ。

ずっとずっと気づいてほしかった。
いつか誰かが気づいてくれると信じてた。
でも、そんな「いつか誰か」は現れなかった。
それならばと「今あなた」に気づかせようとした。
ある時は伝わらず、ある人は黙殺した。
気づかせるための最初の手段は、既に最後の手段だった。

8冊目

2010年10月4日 100冊の遺書
『私が死ねば、世界が終る。』

それが真実であることを願いながら、私は死んだ。

それでも真実であると信じてはいなかった。
世界が終るなら、言葉など遺す必要はなかった。
そう信じていると、終わった世界に住む人に伝えたかった。
私とともに世界が終ってくれればどれだけ幸せだったことか。

7冊目

2010年10月4日 100冊の遺書
『どうせ私が消えても誰も困らないんでしょう?』

卑屈な問いかけを遺して、私は死んだ。

本気で思っているわけじゃなかった。
それでも誰にも聞けなかった。
否定はしてくれると思った。
その否定を信じられると思えなかった。
答えを聞かずに問うには、実行しかなかった。

6冊目

2010年9月30日 100冊の遺書
『死にたくなんかなかった。死にたくなんかなかった』

矛盾した叫びを書き遺し、私は死んだ。

死にたくないのは本当だった。
でもそれ以上に行きたくないのも真実だった。
死んだまま生きるのか、生きたまま死ぬのかを常に迫られていた。
ずっと片方を選び続けてきたけれど、そこに答えなどなかった。
ただ過ぎていく灰色の日々だけが確かに存在した。
その日々の終わりに朱色でピリオドを打つのが答えだと思えた。
それでも、死にたくなんかなかった。

5冊目

2010年9月28日 100冊の遺書
『これ以上迷惑をかけたくないので消えます。』

最後まで矛盾した嘘を吐きだして、私は死んだ。

死んだら死んだで迷惑がかかるのも分かっている。
それでも生き続けて自分がかけている迷惑を見るのが嫌だっただけだ。
その迷惑だって存在したかは分からない。
もはや事実と加害妄想の区別がつかなくなっている自覚はあった。
ただ、逃げたかった。
何物にも関わらない場所へ。
何一つ考えなくてよい場所へ。

4冊目

2010年9月25日 100冊の遺書
『生きることができないなら、せめてちゃんと死のうと思いました。
生きられないのに生きようとするのは、私の正義に反します。』

誰も理解してはくれないことを承知で、言いたい事を書いて私は死んだ。

自らは何も生み出さず、他人に寄生して生きる人間が嫌いだった。
そんなのは死んだ方がいいと思っていた。
気づいてみれば、思っている私もそんなのの一人だった。
できるだけ他人を遠ざけて寄りかからないようにしようとした。
残されたのは寂しさと、抱えきれない生きることの重さだった。
まだ頼ることはできた。
でも頼り方も、程度もわからなくなっていた。
そして代わりに諦めた。

3冊目

2010年9月24日 100冊の遺書
『貴方達が私を殺したのです。その罪を全員で背負ってください。』

それだけを書きなぐって私は死んだ。

別に誰に殺されたわけでもない。
私が私を殺しただけだ。
誰かに罪があるとしたら、
最も重いのは私だろう。
ただ我儘に生きて、
我儘が通らなくて死んだ。
罪を意識してほしいなどとは思ってはいない。
ただこう書くのが一番忘れられないだろうと思っただけだ。
忘れられるくらいなら憎まれてでも関心の対象でいたい。
それは生きている時となんらかわりない私の本性。
覚えていてほしいのは一人でも、
その名前を書くことはできずに「全員」と逃げた。
その中途半端さが私をここまで生かし、ここまでしか生きさせなかった。
貴方の心の中に生きられるなら、この世界で生きている必要なんてないよ。
『もう疲れました。放っておいてください。』

それだけを書き遺して私は死んだ。

疲れていたのは事実だ。
でも放っておいてなんかほしくなかった。
気にかけてほしかった。
心配してほしかった。
何より愛してほしかった。

それでもそんなことは書けなかった。
死人にはどれも届かないものだから。
死人にはどれも求められないものだから。

せめて少しでも嫌われるように。
せめて少しでも忘れやすいように。

1冊目

2010年9月23日 100冊の遺書
『これは自殺です。理由はありません。』


ふざけたような遺書とも言えないような遺書を残して私は死んだ。

理由はいくらでもあった。
自殺だとは思いたくなかった。

それでも残したのはたった二文だけにした。
残された人が困らぬように。
残された人が困るように。

自殺だとして諦められるように。
なぜ自殺したと諦めきれないように。

理由を知って後悔しないように。
理由が分からず苦悩するように。

誰か気づいてくれるだろうか。
誰か信じてくれるだろうか。
死にたくなんかなかったのに。

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